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長期航海中に読みはじめたゆるキャン△の感想文

本記事は、東京大学きらら同好会 Advent Calendar 2022の12日目の記事です。

adventar.org

どうも皆さんこんにちは,はじめまして.kazushiyです.

私は今,とある理由で船に乗っています1.11月上旬に出航してはや1カ月が過ぎますが,それでも帰国まで約4カ月も残っています.途中で某所に寄港した際にこの記事を予約投稿するつもりでしたが,執筆が間に合わず,記事が完成した頃にはもう出港していて船は電波圏外にいました.そこで,国内にいる会員の助力を得て,衛星回線のメールで送った原稿を代理投稿してくれました.彼らには足を向けて眠れません.しかし,残念ながらこの船は南に進んでいて,ベッドは船首方向に頭がくるよう設計されています.必然的に,寝るときは足が日本の方向に向いてしまうこと,何卒ご容赦ください.

さて,電波圏外の洋上に出ることは出航前から分かりきっていたことですので,私はとにかくオフラインで仕事が完結するよう準備を進めてきました.参考資料や論文の大量ダウンロード,パソコンのアプリのライセンス更新,ソフトウェアのバージョンアップデートなど……2文明社会に暮らしながらこの記事を読んでいる読者諸君は,優雅に紅茶でも淹れながら「大変だねえ」と他人事のように呟いていらっしゃるかもしれません.私もそちら側に居たかったです.ですがどうしようもないことですので,せめて皆様におかれましては,21世紀でもインターネットから隔絶された世界があることを知っていただきたいです3

前置きはこのくらいにして,とにかく私は今インターネットに繋がらない世界にいることをご理解ください.インターネットに繋がらないということは,必然的に余暇の過ごし方も変わるということです.私が大好きなTwitterはもちろん,ソシャゲ4もネットサーフィンもニコ動も全部アウトです.では,かわりに何をしているかというと,

大量にダウンロードしておいた論文を読んだり……

研究成果をまとめて論文を執筆したり……

学部の数学の復習をしたり……

筋トレやランニングをしたり……

……してません.いえ,運動だけはやってますが,ほかは(準備こそしてありましたが)やってません.白状すると,ラノベと漫画ばっかり読んでます5.そういうわけですので,今回は「長期航海中に読みはじめたゆるキャン△の感想文」6を寄稿したいと思います.ちなみに,原稿執筆の段階で4巻まで読み終わりました.5巻以降も時間を見つけて読み進めたいです.

穏やかに時が流れる描写って,いいよね

私が読了した範囲では,主に冬のキャンプが描かれていました.第一話の,リンちゃんがスープを片手に焚火をボーっと眺めながら穏やかな時間を過ごす描写だけですごく楽しそうでした.その後なでしこちゃんが拾われてからのテンポの良い掛け合いも見事なのですが,やはりコマとコマの間には沈黙,ないしはとりとめのない会話が挟まれていたのではないでしょうか.その間は焚火がパチパチ鳴る音,風に揺れる草木の音,虫やカエルの鳴き声などが聞こえるはずです7.私は東京育ちの都会っ子なので,都会の喧騒から離れて穏やかに過ごせる時間というもの自体に魅力を感じました.

とりあえずできることからやるって,すばらしい

野外活動サークル(野クル)の活動も,すごく楽しそうでしたね.与えられた環境と設備のなかで,最大限に「野外活動」を学び,満喫する姿勢には目を見張るものがあります.校庭で焚火をしたり(これに関しては許可を出した学校もすごいですね),アウトドア雑誌を読んだりなど,ひとつずつ基礎を丁寧に固めていました.私も同じことを修士研究でできているのだろうか.そして,装備を調達して試してみるフェーズに移行したときも良かったですね.自分たちの手が出せる範囲で検討し,創意工夫を凝らして節約し,かつ必要な性能が十分に満たされていることを確認する作業は,王道でありながら,王道であるからこそ美しいです.

寄り道も,キャンプの一部なのか

今まで私の中では,キャンプとは現地に着いたときに始まって撤収するときに終わるものだという意識がありました.ところが,ゆるキャン△を読んでこれが間違っていたことを痛感しました.準備から帰宅までを内包して,はじめて「キャンプ」になるのですね.そしてその過程の中には,現地に行くまでの道中や寄り道も含まれていました.絶景の名所に足を運んでみたり,暖房のきいたカフェでアイスを食べたり,冷え切った身体を温泉で温めたり,ご当地グルメを堪能したりなど,選択肢は無限大ですね.(ただし,寝坊するのは心臓に悪かったです.自分にも思い当たる節がいくつも……)長い目で見てキャンプの予定を構想して,道中に「楽しい」を組み込むのもキャンプの醍醐味なのかもしれないと,考えを改めました.

そのとき,(設定上にしか)存在しない記憶が駆け巡る……!

私は一度だけ,キャンプに行ったことがあります.厳冬期の2月末,標高1,000m越えの雪原で一泊させられたのは一生忘れません.あの時の経験が時折フラッシュバックしましたが,それに比べるとまだ降雪していない時期のキャンプは最高ですね.下着からジャケットに至るまでの装備品を厳冬期仕様のもので固めなくても良くて,キャンプエリアの雪を踏み固める必要もないですし,転んでもジャケットの中に雪が入ってびしょ濡れになる心配もありません.夜はさすがに冷え込むのでしょうが,断熱シートを貫通す冷る気に体温を奪われて凍えそうになるほど過酷ではないでしょうし,テントに積もった雪をはたき落とすために夜中に起きる必要もないでしょう.雪をはたきおとしたり,トイレに行ったりするためだけにスノーシューズをわざわざ履くのも煩わしい限りですが,きっと普通の履物で十分だと思います.

もちろん,一歩間違えれば命の危険にすら繋がりかねないのは作中でも変わらないはずですし,登場人物が気を緩めていると非難する意図は一切ございません.ただ,やはり私が経験させられたしたキャンプと比べるとどこか余裕があるように見えましたし,そのおかげでキャンプを思い思いに楽しむ余力が残されていたのだと思います.

そう,私が一番惹かれたこの作品の魅力は「登場人物が楽しそうにキャンプをしている」描写そのものです.好きなことを楽しそうに取り組む姿を生き生きと描写してくれたあfろ先生,ありがとうございます.おかげでこの先の航海もなんとか乗り越えられそうです.

最後に

この記事の設定はすべてフィクションです.実在する人物,組織,団体,国家事業とは本当に一切関係ございません.

この記事の見解はすべて筆者のkazushiyのものであります.

ゆるキャン△が未履修の方は,ぜひ読んでみてください.アニメのほうはまだ視聴しておりませんので私のほうからおすすめできませんが,きっとすばらしい仕上がりになっていることでしょう.帰国したらASAPで視聴したいです.


  1. この記事の設定はフィクションです.実在する人物,組織,団体,国家事業とは一切関係ございませんので悪しからず.
  2. ほかにも,コンビニやネットショッピングといった便利なものもないので,仕事に使う機器,事務用品,消耗品,あるいは休息のための嗜好品なども全部事前に準備していました.
  3. 願わくば,海上や南極ですらTwitterが快適に使えるインフラの整備が21世紀のうちに完成しますように.
  4. 航海中にきらファンがサービス終了してしまう……うぅ(泣)……
  5. 仕事は(まあまあ)ちゃんとやってます.ほんとですよ?
  6. この駄文を読んだあなたは「こんなの感想文じゃない!ただの自分語りよ!」と思われるかもしれない.そんなあなたに,心の底から届けたい言葉があります.「許してくれ」.
  7. 現地の生態系について詳しくないのでこの時期は虫もカエルもいないかもです.