東京大学きらら同好会

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恋する小惑星の今(2022年版)

東京大学きらら同好会の支部東京大学恋する小惑星同好会のkn1chtです。
恋する小惑星(恋アス)』は、『まんがタイムきららキャラット』にて連載中の作品で、2020年にアニメ化されました。アニメ放送によって既にある程度の知名度を得ているとは思いますが、念のためご存じない方のためにPVを貼っておきます。


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本記事の目的

恋アスのアニメが放送された2020年冬クールから2年が経ちました。その間に、原作コミックではアニメ化範囲以降の第4巻が2021年5月に発売されたほか、きららキャラットでの連載も進んでいます。また、TwitterなどSNS上でのファン活動も活発に続いているほか、コミックマーケット99などの同人イベントでも恋アスサークルの活動がみられます。

本記事では、アニメ化からの2年間で変化してきた恋アスの「今」を記録し、恋アスの世界により多くの方をいざなうことを目的とします。「恋アスの作品名は知っているけれど、アニメにも原作にも触れたことがない」「アニメは視聴したが、その後は追いかけていない」という方が、恋アスを楽しむきっかけとなれば幸いです。

恋アスの概要

恋アスの物語は、主人公の木ノ幡みらが、小さい頃に「小惑星を発見して名前をつけよう」と約束した真中あおと再会する所から始まります。みら・あおは星咲高校地学部に所属し、天文のみならず地学に関する幅広い活動を仲間とともに楽しむことになります。
地学部の多彩な活動やキャラ同士の掛け合いが魅力の作品です。

恋アスは作中の時期がきっちり設定されていることも特徴の1つです。みら・あおが入学した2017年春から月日が流れ、連載の最新話では2年度目の冬(2019年)に入っています。
高校生であるからには長期休みや文化祭、大学入試、卒業・入学といったイベントも定期的に発生します。そのタイミングで大きく話が動くことも少なくありません。
2022年冬に連載中の時点では、高校3年生で地学部部長だった猪瀬舞(イノ先輩)が大学入試を控えていると推定され、その結果に一部ファンは戦々恐々としているとか……。

これから恋アスを読み始める方へ

単行本は、第1巻から第4巻まで4冊が発売済みです。このうち第3巻までの3冊が、TVアニメ全12話で描かれた部分とほぼ一致します。作中の時期で言えば、2年目の8月上旬ごろまでです。
原作とアニメとでは軽微な時系列の変動や描かれたシーンの違いがあるため、「ほぼ」と書きました。ですから、実際にはアニメだけ観た方がすぐに第4巻から読み始めても違和感はないと思います。

とはいえ、可能であれば単行本4冊を全て読んでいただくことをオススメします。アニメではリアル寄りの雰囲気を維持するため、原作のギャグやデフォルメを削った部分があるBlu-ray第1巻ブックレットより)ためです。同じストーリーを描いていても、キャラクターから受ける印象や話のテンポ感が違ってくることでしょう。Quro先生のぷにぷに感のある絵柄も、ぜひ堪能していただきたいところです。
ニコニコ静画の公式配信サイト「きららベース」で原作の一部が無料公開されています。

第4巻は『まんがタイムきららキャラット』2021年5月号までの内容を収録しています。その後2021年秋に休載期間が入っていたため、次の第5巻の発売は少しずれて2022年秋ごろになると考えられます。

恋アスの魅力

本作の魅力を挙げていけばきりがなく、ファンによっても好みの点や推しキャラは当然異なります。本記事では、多くの方に恋アスを好きになっていただくという観点から、筆者が感じている魅力を3つにまとめてみました。

(この部分は筆者の主観が多く入っているため個人の意見としてお読みください。また、筆者は絵や4コマ漫画の技法といった点には詳しくないためコメントできていない点も申し添えておきます)

豊富な天文・地学ネタ

恋アスという作品のベースである以上、これを避けては通れないので1番目に持ってきました。
本作のストーリーの多くは、地学部を舞台に進んでいきます。各回に挟まれる天文・地学のネタは、この分野を愛好する者ならニヤリとするものばかりです。さらには、Quro先生の知識と丁寧な取材により、夜空の星の並び、地学用語、観測や採集の道具といった描写がたいへん正確です。地学オリンピックに出ているようなガチ勢に恋アスファンが多数いるのも頷けます。

知的好奇心の肯定

あまりに天文・地学を推していると、この分野に興味の沸かない方が帰ってしまうかもしれないので、少しフォローしておきます(キャンパーでなくてもゆるキャン△を読む人はおり、釣り人でなくてもスローループを読む人もいると思うので杞憂かもしれませんが)。結論から言えば、知的好奇心を持つ方なら恋アスを気に入る可能性は高いと考えます。

例えば本作の主要メンバーである地学部(元)部員の興味分野を並べてみると、天文・地質・宇宙開発・地理・気象・占いなど多岐にわたります。興味の異なる者同士が共に活動することで初めは戸惑う場面があるものの、お互いの好きを尊重し、その上でお互いの知識を生かして助け合ったり、興味の幅を広げていくという雰囲気が次第に定着していきます。

登場人物それぞれが自らの知的好奇心、そして周囲の仲間との交流を通じて様々な知識・体験に触れていく楽しさが本作では描かれています。そのため、どんな分野・趣味の方であっても本作に勇気づけられる点は多いことでしょう。

広がってゆく世界と人間関係

考えをまとめていたらめちゃくちゃ抽象的なタイトルになってしまいました……。

原作3巻ラスト、小惑星探索イベントへの参加を終えたみらが「ひとりでいたら世界はひとつだけど それがもしたくさんつながったら 可能性がどんどん広がって…大きくて未知数でー 宇宙みたい……」と思い至るシーンがあります。この部分はアニメのクライマックスであり、その後のみらの意思決定にも影響していく重要なシーンです。

まんがタイムきらら作品の多くに見られるように、本作のストーリーの大部分は主人公を取り巻く身近な世界で展開します。ただ、それに加えて、物語の進行に応じて世界や人間関係が少しずつ広がってゆく様子が本作では重視されているのではないかと感じます。

例えば、1年目の春、高校3年生だったモンロー先輩・桜先輩らは卒業・引っ越ししてしまいました。ただ、卒業して完全にお別れとはならず、大学生として登場したり、帰省の際には地学部の集まりに参加したりと活躍が続きます。高校生だけの話に閉じないことで、作品の展開や人間関係の幅がより広がる効果があると考えられます。

また、場所の面でも恋アスの世界はどんどん広がっています。アニメ化された範囲では地学部の合宿地としてつくば市が、小惑星探索イベントの開催地として石垣島などが登場しました。それ以降の話でも、栃木・群馬・埼玉の三県境秋田県、各地の科学館などが登場します。
これらの場所は実際に天文・地学スポットであり、実際に赴くことで登場人物たちと同じ目線を味わえ、新たな発見もあることでしょう。Quro先生ご自身もこうした場所への取材を楽しんでいらっしゃるようで、単行本巻末には「旅する小惑星」という取材レポートコーナーがあります。
取材に協力されている国立天文台国土地理院も、継続的に恋アスを応援してくださっています。作品の内外で広がる世界を楽しめることも、本作を長く楽しめる作品にしている要因のひとつではないでしょうか。

終わりに

本記事では、2022年3月現在の恋アスの現状と魅力についてまとめ、これから恋アスの読者となる方の入門の一助となることを目的としました。末永く恋アスのストーリーを見届けるためにも、共に作品を応援する仲間が増えれば何よりです。

最後に、東京大学恋する小惑星同好会について軽くご紹介させていただきます。当会は、東京大学きらら同好会の支部として、恋アス合同誌『#FindOurStars』を発行しています。独立したサークルというわけではなく、入会方法や運営はきらら同好会と共通です。活動に参加したい場合はきらら同好会にご入会ください。

恋アスに関して何か表現したり、舞台探訪に出かけたりしてみたい!という方のご参加をお待ちしております。

utkiraracircle.github.io

参考文献