東京大学きらら同好会

東京大学きらら同好会の公式ブログ

【よんこま文化祭2022】「きららの中の東大」追加情報ペーパー【全文】

コミックマーケット100の新刊『Micare Vol. 2』に、「きららの中の東大」という企画を掲載させていただいたkn1chtと申します。

当企画はきらら作品の東大要素(大学の施設が出てくる、入試問題が出てくる、言及される)を分かる限り集めたものでした。その後新たに東大要素が増えたり、会員からの指摘で判明したりした作品についてペーパーとして配布した内容を、当ブログでも公開致します。

よんこま文化祭2022で配布したペーパー

※ Micare Vol. 2の記事を未読でも、単体でお楽しみいただけます

妄想アカデミズム(きらら 2022年8, 9, 10月号)

3話分のゲスト掲載を経て連載決定! 檜山ユキ先生おめでとうございます!!!

『妄想アカデミズム』は、どこにでもいる高校2年生の湯島未春さんが東大(東卿大学)受験を決意するものの、幼馴染の室町莉子さんとお互いにあれやこれや妄想してしまうという話です。
8月号の聖地巡礼はMicare Vol. 2に掲載したので、9月号・10月号の東大要素を軽くご説明しておきましょう。

9月号 p. 97(扉絵の入試問題)

ぐるぐる目になっている未春さんの背景に古文・数学・英語の入試問題らしきものが載っています。

古文は文章の一部しか見えていませんが、文中にある「思ふさまなる御容貌」でググるとこの一節が源氏物語 第三十一帖「真木柱」の冒頭部であることが分かります*1(古文で御容貌とか言われるのは高頻度で光源氏だと思うので、ググらなくてもなんとなく源氏物語が連想できます)。真木柱は2017年東大前期入試の国語(古文)で出題されたものの、その範囲は扉絵のものとは異なります。

数学は問題ではなく答案になっています。これの元ネタは2003年東大前期(理系)の数学第6問「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」です。いわゆる「ゆとり教育」における円周率を3として計算する指導を批判した問題として非常に有名ですね。扉絵の答案は、最もオーソドックスな「円に内接する正十二角形の辺の長さと比較する」方針です。

英語は、英文と挿絵の組み合わせです。英文の方は、米国のモンロー主義(Monroe Doctrine)について解説した文章で、米国公文書館のサイトにある文章と一致します*2。特にどこかの入試に出たという形跡は見つかりませんでした。
その横にある、吉野ゆうさんがUFOを指さして未春さんに話しかけているイラストは、2007年東大前期英語の自由英作文が元ネタでしょう。東大の英作文問題は、「イラストを見て状況を説明する」という形式で出題されることがあり、2007年の妙にコミカルなUFOイラストもその形式でした。

10月号 p. 138(駒場キャンパス)

室町莉子さんがミス東大になった映像の背景ですが、東京大学駒場キャンパスのコミュニケーション・プラザだと思われます。ここは、東京大学生協の食堂や売店などが入っている建物で、学生生活になくてはならない機能を備えています。漫画のコマで右に描かれている建物が駒場食堂、左に描かれている建物の1階手前が購買部(食品や日用品の店)、奥が書籍部(書店)です。駒場書籍部は、学生からの熱い要望の結果まんがタイムきららをはじめ多くの漫画を取り扱っているので、駒場キャンパスにお越しの際は探してみてはいかがでしょうか?

10月号 p. 139(テニサー)

大学の新入生の多くはテニサーという単語を耳にすることになるでしょう(東大にも多数のテニサーが存在します)。テニスをやるサークルと言う意味ですが、真面目にテニスをせずに出会いを目的としているとおぼしきサークルも存在しているようです。
最近は男女差別をなくすなどの文脈で炎上しがちになってきているテニサーの未来は如何に?

ファンアート

ペーパーには、会員のK. 汝水氏のファンアートを挿絵として掲載させていただきました。ありがとうございました。



幸腹グラフィティ

幸腹グラフィティ』のTVアニメ第2話、開始5分あたりのお花見に来た一行が上野公園にたどり着く場面の背景に東大病院らしき建物が描かれています。『ぎんしお少々』第1巻と同じく、清水観音堂の石段から不忍池方面を見たアングルです。背景の建物は現実の風景とあまり合いませんが、不忍池弁天堂の左上にある建物がぎりぎり東大病院の入院棟Aの特徴を捉えています。

rimatai.blog.fc2.com

ドージンワーク

ドージンワーク』のTVアニメ第11話にある即売会の場面で、主人公・長菜なじみさんの所へ書店委託の営業にきた星純一郎さんが「T大」を中退したとの会話がありました。

星純一郎「ちょっと前までは……T大生でした。」
長菜なじみ「えっ……。」
露理「頭良かったのね。」
星「ですが、自分の進むべき道はなじみさんの漫画を世に広めることだと思って、やめちゃいました! 」
露理「頭悪いのね。」
二道かねる「すごい行動力!」
星「いやあ、照れるなあ」
二道「でも、そんないい大学やめちゃって大丈夫なの?」

T大というイニシャルだけからは大学を特定できませんが、一般的にはいい大学だと思われていることを考慮して東京大学のことだと思っておきます。

ササエルの中には誰もいない

東北に引っ越してきた駒蔵小依(こまくら こより)さんが地域のPRキャラクター「ササエル」の中の人をさせられる話です。正体を隠すため小依さんが四苦八苦する様子が楽しい作品なのでぜひ読んでください。第1巻は9月27日発売です!

東大要素がどこにもないって? 
帯をよく見てください。ほら、「東」と「大」の文字が……。


Special Thanks: chronos(情報提供), K. 汝水(漫画寄稿)