東大きらら同好会のK. 汝水(@tactfully28)です。以前、東大きら同内部のLT企画で、作品紹介記事の私なりの構成法についてお話ししました。この記事では、そのときの発表を記事として再構成してお伝えしたいと思います。
私は、「「妄想アカデミズム」紹介」などの作品紹介記事を書いてきました。この記事では、この「「妄想アカデミズム」紹介」を題材に説明していきます。なお、文章の書き方は人それぞれであり、これから述べるのはあくまで私が書きやすいやり方に過ぎません。前提としてここで強調しておきます。
私が書いた「妄想アカデミズム」の紹介記事は、下記のような構成になっています。
- 作品の概要
- 作品の魅力を3ポイントに分けて紹介
- 結論
記事の主要なパートは「作品の魅力を3ポイントに分けて紹介」の部分で、これは次の3ポイントを挙げています。
- 妄想というフォーマットの秀逸さ
- 未春と莉子を対にした構成
- 受験ものとしてのリアリティ
この主要部分を書くにあたって、いきなり「作品全体の魅力」を考えようとすると「漠然としすぎて何から書けばいいのかわからない」という悩みにぶつかります。そこで私は、「好きなシーンを列挙して、各々を分析し、後から整理していく」という戦略を取りました。この戦略を具体的に説明しましょう。最初に、作品を読み返して好きなシーンをリストアップします。(図1)。
次に、なぜそのシーンを好きだと感じたかを表に記入します(図2)。具体的なシーンであれば、なぜそこが印象に残ったのかを考えやすいのではないかと思います。
ここまで記入した上で、抽象化を考えます。「内容」や「どこが好き」の欄を縦に眺めて、共通点がある項目はないか検討します。私は、「妄想の中で莉子が服を脱ぐ」「裸で窓を突き破る莉子」のシーンに注目し、「妄想を活かした突飛な行動という点で共通している」と考えました。そこで、この二つのシーンは「A」に分類することとします。そして、もう一つ表を作り、「分類A」の内容を説明します。そうしてできたものが図3です。
好きなシーンの分類が終わった後、私はそのポイントが作品全体にもたらす効果を考えることにしています。「妄想を活かした突飛な行動」の場合は、「勉強という地味な題材を派手に演出する」といった具合です。
ここで考えたシーンの分類は、紹介記事における見出しに対応します。そこで、各分類をどういった見出しで記事にするかを考え、記入します。こうして完成した二つの表を図4に示します。これがそのまま記事の構成メモになります。
図4において、上の表は「具体」、下の表は「抽象」に対応します。一般に、パラグラフは抽象→具体→抽象の順に構成されます。私の紹介記事の場合は、「好きポイント」→「シーンの例」→「作品全体にもたらす効果」と配置しています。つまり、「妄想アカデミズムはこうだから好き」→「具体的にはこんなシーンに現れている」→「この結果、妄想アカデミズムはこんな印象を持つ作品になっている」という構成です。この流れを3回繰り返して一本の記事にしています。
こうして作品の魅力パートを書いたあとは、冒頭にこれから紹介する作品の概要を、末尾に記事全体のまとめを書いて記事の完成です。
今回紹介した記事の書き方は、あくまで私が書きやすいフォーマットであって、絶対にこうしないといけないというものではありません。しかし、「抽象」を書くために「具体」から着手するのは、どんな文章にも活かすことができる考え方だと思います。
この記事が少しでも何かの参考になれば幸いです。それでは。